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環状mRNAを用いた「回転式タンパク質合成」 ヒト培養細胞で成功

環状RNAでタンパク質合成

 ヒト培養細胞内で、終止コドンを除いた環状mRNAを使って終わりのないタンパク質合成の現象が起きることを発見したと、名古屋大の阿部洋教授らの研究グループが10日付の英科学誌「Scientific Reports」で発表した。タンパク質大量合成法として産業利用や、医療への応用が期待される。

 産業や医療へ応用するための真核生物のタンパク質大量合成法の開発が望まれているが、原核生物とは異なり複雑な構成要素からなるため、困難であった。

 研究グループは2013年に、大腸菌のタンパク質合成系で終止コドンを除いた環状mRNAを鋳型としたタンパク質合成反応を検討したところ、通常の直鎖状mRNAと比べて大量のタンパク質が合成できることを発見した。そこで、真核生物でも同様の現象が起きるかどうかを検討した。

 真核生物では直鎖状mRNAの末端にあるキャップ構造とポリA鎖を使って環状構造を取る。研究グループは、キャップ構造やポリA鎖、配列内リボソーム進入部位(IRES)、終止コドンを除いた環状mRNAを合成し、ヒト培養細胞内に導入した。

 すると環状の鋳型に沿って終わりなく続く「回転式タンパク質合成反応」が起こり、タンパク質を大量に合成することがわかった。

 今回の手法を用いることで、真核生物のタンパク質合成開始のメカニズムの解明や、産業や医療への応用が期待されるという。

(via 名古屋大学

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