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見つめ合うと脳活動が同期する コミュニケーションを円滑にする可能性

見つめ合うと同期

 二人が見つめ合って互いに注意を向け合うと、脳の特定の部位における活動が同期すると、生理学研究所の定藤規弘教授らの研究グループが科学誌「Neuroimage」で発表した。見つめ合いによる注意共有がその後のコミュニケーションを円滑にする可能性があるという。

 実験は1日目、初対面の参加者がペアになって二者間で見つめ合う「注意共同状態」をつくり、脳活動を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で計測した。その後、お互いに視線を使って同じものに注意を向けるという課題「共同注意課題」を約50分間にわたって実施した。

 2日目にも同じペアで見つめ合う「注意共同状態」をつくり、脳活動を計測した。

 実験の結果、1日目に初対面の二者が見つめ合う場合には右中側頭回に脳活動の同期がみられた。さらに、「共同注意課題」をこなした後の2日目では右中側頭回だけではなく、下前頭回(弁蓋部)と腹側運動前野で、脳活動が有意に同期した。

 一方、2日目の脳活動の増加は、共同注意課題をしない場合や2日目に違う相手と見つめ合う場合には観察されなかったという。

 定藤は、注意共有は二者間の脳活動の状態を同期させる働きがあり、さらに「その後のコミュニケーションを円滑に開始する働きがあるかも知れない」としている。

(via 財経新聞