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運動に関する短期と長期の記憶、関係する脳部位を画像化

運動記憶の脳部位

 運動に関する短期記憶や長期記憶に関わる脳の部位を画像化することに成功したと、東京大の今水寛教授らの研究グループが科学誌「PLOS Biology」で発表した。練習の効果が長く残るトレーニングやリハビリテーションへの応用が期待できるという。

 運動学習について、短期記憶と長期記憶が存在することは理論的に示されているが、それぞれの記憶に関係する脳の部位についてはわかっていなかった。

 研究グループは、20~50歳の実験参加者21名にfMRI装置の中でジョイスティックを操作してもらった。この行動データを解析して練習中に短期と長期の記憶がどのように変化したかを推定し、同様の変化をした脳の場所を統計的手法で調べた。

 その結果、数秒で学習して数秒で忘れる短期的な記憶には前頭前野や頭頂葉の広い場所が関係することがわかった。一方、数分から数十分の中期的な記憶は頭頂葉の中でも限られた部分が関係しており、1時間以上かけて学習してゆっくり忘れる長期的な記憶は小脳が関係していた。

 今回の方法を使うと脳の状態からどれくらい長期に残る記憶かを予測できるため、脳の状態をモニターしながら練習効果が長く残る効率的なトレーニングやリハビリを行うことが期待できるという。

(via 東京大学