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「音声チック」を再現するモデルザルを開発、トゥレット障害の発症メカニズム解明へ

 脳の部位「側坐核」を興奮状態にすることで音声チックを再現できる、マカクザルを使った「トゥレット障害」の病態モデルの作製に成功したと、京都大霊長類研究所の高田昌彦教授らなどの研究チームが米科学誌「Neuron」で発表した。効果的な治療法の開発につながると期待される。

 トゥレット障害は、咳払いや奇声などを発する「音声チック」と、まばたきや顔しかめなどを繰り返す「運動チック」症状を継続する神経発達障害で、18歳未満に0.1%から1%の割合で発症するとされている。

 これまでに有効な治療法は確立されておらず、音声チックを呈するモデル動物の開発や症状をもたらす脳のメカニズムの解明が急がれている。

 研究チームは、「側坐核」と呼ばれる脳部位の活動を興奮状態にすることで音声チックを再現できるモデルザルの作製に成功した。

 このサルの脳活動をPETで調べたところ、発生に関わるとされている「前部帯状皮質」で活動が過剰になっていることがわかった。

 さらに、側坐核や前部帯状皮質、発声に関わる一次運動野の神経活動を調べたところ、これらの部位の神経活動が同期することで音声チック症状が発現するというメカニズムが明らかになった。

 このメカニズムをターゲットとした音声チックの治療法開発につながることが期待できる。

(via 京都大学