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眼の動きの前後でずれた「像」を統合する脳の仕組みを解明

 眼の動きによってずれた網膜像を統合して滑らかな視界を維持する脳の仕組みを解明したと、北海道大や京都大の研究グループが英科学誌「Scientific Reports」で発表した。

 人は1秒間に数回という高頻度で急速に眼を動かしているが、世界を安定して知覚することができる。どのような脳の仕組みで実現してるかについてはよくわかっていない。

 これまでの研究で、大脳皮質後頭・頭頂連合野の一部「MST野」が眼を動かすことで生じる網膜像の動きの補正に関わること、動かす前の情報の記憶を呼び起こして途切れた情報を埋める仕組みに関与することがわかっている。

 研究グループは今回、眼の位置によって神経細胞の視覚受容野の応答感度にどのような変化が生じるかを調べた。

 その結果、MST野の神経細胞が、眼が動いた後に呼び起こされる過去の視覚情報の記憶痕跡と同時に、現在の眼球位置の情報を併せ持つことがわかった。

 MST野の神経細胞は、眼の動きの前後で生じる2枚のずれた網膜像を、眼が動く前と後の眼球位置を使うことで補正し、そして統合することで滑らかな連続した視覚の維持に関与する可能性があるという。

(via 北海道大学