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改良型透明化液「SeeDB2」を開発、シナプスの微細構造を鮮明に画像化

 屈折率の高い組織透明化試薬「SeeDB2」を開発して脳内の微細な三次元構造を解析することに成功したと、理化学研究所の今井猛チームリーダーらの研究グループが科学誌「Cell Reports」で発表した。精神疾患の病態やメカニズムの解明につながると期待される。

 神経細胞はシナプスによって互いに連絡し合い、脳内で神経回路を構成している。しかしその構造は1マイクロメートル以下と小さく、従来の光学顕微鏡では詳細に観察できなかった。

 研究グループは、2013年にフルクトースを用いて生体組織の微細構造を保ったまま透明化する試薬「SeeDB」を開発した。

 今回、X線造影剤の成分として知られる「イオヘキソール」を使って改良し、「SeeDB2」を新たに開発した。

 SeeDB2は屈折率が高く、顕微鏡観察に用いるカバーガラスやオイルの屈折率と完全一致するため、深部でも画像を鮮明に観察できるという。

 SeeDB2で処理したマウス脳やショウジョウバエ脳、卵母細胞、培養細胞などを共焦点顕微鏡や超解像顕微鏡で観察したところ、100マイクロメートルを超える深部まで高解像画像を得ることができた。

参考:理化学研究所