マウスを使った実験で意欲障害の原因となる脳の部位を特定したと、慶應義塾大などの研究チームが科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で発表した。脳損傷後の意欲障害の治療法開発につながる可能性がある。
認知症や脳血管障害などでは、いわゆる「やる気がない」という意欲障害が起きることがある。発症の仕組みが不明なため、これまでは治療法がわかっていなかった。
研究グループは、大脳基底核の線条体にある「D2-MSN」と呼ばれる神経細胞集団を破壊するマウスの実験を行った。
その結果、線条体の腹外側にある細胞集団を破壊すると意欲障害が起きることがわかった。
この意欲障害モデル動物を使って、脳の損傷後における意欲障害を治療する方法の開発につながると期待される。