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エタノールが植物の耐塩性を強化することを発見

エタノールで処理することによって植物の耐塩性を高めることができると、理化学研究所などの研究チームが発表しました。安価かつ入手が容易なエタノールで作物の増産につながると期待されます。




植物は高い濃度の塩によるストレスにさらされると、根からの水分吸収が阻害されたり、光合成の活性が低下するなどの影響が生じます。

そのため、かんがい農業による塩類の集積や沿いの地域での塩害によって、農作物の生産が大きな悪影響を受けます。

研究チームはシロイヌナズナを使った実験で、エタノールを投与する処理によって耐塩性が強化することを突き止めました。

高濃度の塩によるストレスを加えたところ、シロイヌナズナは白く枯死しましたが、エタノール処理をした場合は塩ストレス下でも生存できました。

次にこのような耐塩性が強化されたメカニズムを解明するために遺伝子発現解析を実施しました。

その結果、高塩ストレスによって発生する活性酸素を除去するために働く遺伝子群の発現が、エタノール処理によって増加することがわかりました。

また、活性酸素の一種である過酸化水素を消去する「アスコルビンサンペルオキシダーゼ」の活性も増加することがわかりました。

さらにイネにおいても、エタノール処理で活性酸素の蓄積が抑えられて耐塩性が強化されることも明らかになりました。

安価で入手が容易であるエタノールによって植物の耐塩性を強化できることから、かんがい設備の設置が困難な地域などで、塩害に強い農作物を育生する肥料の開発、収量の増産につながると期待されます。

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