[Display]タブや[Colours]タブで分子の表示方法や色を変更することができますが、特定の分子、特定の残基、あるいは特定の原子のみ変更したい場合があります。ここでは、特定の部分のみを選択して表示や色を変更する方法を説明します。

特定の残基の表示方法を変更する

ここでは例としてp53変異体(Y220C)と化合物(PhiKan784)との複合体構造PDBファイル(PDB ID:4AGL)を使用します。この変異体の変異残基と化合物(PhiKan784)との相互作用を観察します。(4AGL.pdbをダウンロード

相互作用を観察したいので原子まで表示できるSticksやBall and Stickで表示すべきですが、220番目の残基を探すのも大変ですし見つけ出したとしても煩雑すぎて観察が困難です。そこで、他の残基はCartoons表示にして、変異残基と化合物(PhiKan784)のみをSticksで表示します。

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RasMolで4AGL.pdbを開き、全体をCartoons表示にします。色はStructureにします。

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次に変異残基と化合物(PhiKan784)を選択します。変異残基の残基番号は220です。化合物の残基番号は、PDBファイルをテキストエディタで確認すると400であることがわかります。

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Command Lineウインドウに「SELECT 220,400」と入力してEnterキーを押します。「38 atoms selected!」と表示されます。これで、220番目の残基(変異残基)と400番目の残基(化合物)が選択されました。

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次にメインウインドウで[Display]タブから[Ball and Stick]を選択します。選択した2つの残基のみがBall and Stick表示に変更されます。色も[CPK]に変更します。これで、変異体残基と化合物がどのように相互作用しているかを把握することができるようになります。

選択方法の一覧

  • 分子鎖を選択
    「SELECT *:A」A鎖のみを選択します。
  • 分子の種類を選択
    「SELECT water」水分子のみを選択します。他に「prtein」や「dna」「ligand」を選択することも可能です。
  • 残基番号を選択
    「SELECT 1」1番目の残基を選択。「1,2,」や「1-3」など複数の残基番号を選択することも可能です。
  • 残基の種類を選択
    「SELECT ALA」アラニン残基をすべて選択します。すべての残基について、三文字表記で選択できます。
  • 全部の原子を選択
    「SELECT ALL」選択をリセットしてすべての原子を選択した状態に戻します。