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シロアリの化学受容体はカーストによって発現量が異なる

 シロアリの化学受容体遺伝子の発現量がカースト(社会の中の役割)や性で異なり、とくに王と王女では年齢によって変化すると、京都大の松浦健二教授らの研究グループが米科学誌「PLOS ONE」で発表した。社会性昆虫における労働分業の進化の理解につながるという。

 研究グループは、ヤマトシロアリで発現するすべての遺伝子を全身から抽出して「化学受容体」と「受容体まで化学物質を輸送するタンパク質」の遺伝子を探索した。

 その結果、53種類の遺伝子が見つかり、うち41種類が化学受容体、12種類が輸送タンパク質であることがわかった。

 これらの遺伝子の発現量を解析したところ、約81%はカースト間で発現量の差が見られ、約8%は性差が見られた。また、いくつかの遺伝子は王または女王のみで顕著に発現するパターンが確認された。

 さらに、全体の約62%は王または女王の年齢に応じて発現量が変化することもわかった。

(via 京都大学