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ネコが大好きなマタタビは安全であることが確かめられる

ネコにマタタビを与えても依存性や毒性がなく安全性が高いことが確かめられました。




マタタビを乾燥して作られた商品が市販されており、ネコは舐めたり噛んだり、あるいは顔やを擦り付けるなど酔ったような行動をとります。飼い主のなかには、マタタビの依存性や毒性を懸念する人もいます。

そこで岩手大学などの研究グループは、マタタビをネコに与えることの安全性を検証しました。

研究グループは、マタタビの安全性について、依存性、ストレス誘発性、肝臓や腎臓への毒性について調べました。

まず、マタタビ葉の抽出物を4時間提示し、ネコの行動を観察。その結果、4時間のうち10分程度しかマタタビに接触せず、興味も時間とともに減少する傾向が確認されました。

もしマタタビが依存症を引き起こすのであれば、マタタビの接触を続けて、興味が薄まることはないはずです。つまり、マタタビには依存性はないことになります。

次に、マタタビに反応することでストレスが誘発されるかどうかを検証しました。

ストレス刺激があると上昇するとされる、コルチゾールとグルコースの血中濃度を調べたところ、マタタビ反応後にこれらの数値に有意な変化が見られないことを確認。つまり、ネコはマタタビを嗅いでもストレス応答に関わる反応を示さないことがわかりました。

最後に、マタタビによって肝臓や腎臓に悪影響がないかどうかを調べました。

最長3年間にわたってマタタビを与えられた9歳未満のネコたちの血液検査を行い、肝障害や腎障害の指標となる血中バイオマーカーの濃度を測定しました。

その結果、すべてのネコで肝障害の指標となるアラニンアミノトランスフェラーゼ値や腎障害の指標となる対称性ジメチルアルギニン値とクレアチニン値が正常値の範囲内であり、長期間にわたってマタタビを与えても肝臓や腎臓への害はみられないことが明らかになりました。

今回の研究結果から、ネコに対するマタタビの有害性は認められませんでした。

研究グループによると、ネコはマタタビを嗅ぐと幸せホルモンと呼ばれるβエンドルフィンの分泌が促進されるとのこと。マタタビはネコにとってポジティブな作用をもたらす、安全性の高い嗅覚エンリッチメントであるとしています。
ネコが大好きなマタタビ、あげても安全 ~マタタビの葉を原料とした嗅覚エンリッチメントの開発~