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セロトニンが低下するとやる気がなくなる仕組みが判明

量子科学技術研究開発機構の研究グループは、セロトニンシステムの不調がやる気を低下させる仕組みを特定しました。




セロトニンは、気分や覚醒リズムに関わる重要な脳内の神経伝達物質です。

セロトニンの不足は、うつ病などで不安や意欲低下が生じる原因のひとつと考えられています。しかし、セロトニンの不足によって意欲低下が生じる詳しい仕組みは分かっていませんでした。

研究グループは、サルの脳内セロトニンレベルを下げると、

➀報酬期待による意欲生成(報酬効果)が低下し、
➁報酬の大小に関わらず「行動をしたくない」(億劫)という反応が増える

ことを発見しました。

さらに、この意欲低下の2要因には2種類のセロトニン受容体(5-HT1Aと5-HT1B)が関係し、5-HT1A受容体は特に報酬を得るために必要なコストを多く見積る「コスト感の増大」に作用することを発見しました。

これらの知見は、うつなどの精神疾患の患者でよく見られる「よりコストを感じて行動することが億劫になる」といった意欲障害の脳メカニズムを理解する上で重要な手がかりであり、新しい治療法の開発につながることが期待されます。
セロトニン低下によってやる気が下がる仕組みを明らかに-うつなど疾患の病態理解や治療法開発のための重要な手がかり-