バイオ研究を紹介するネットメディア 5.20 Sun
動物
サルは温泉入浴で冬のストレスを軽減していることが判明する

1

温泉につかるニホンザルの姿は日本では有名ですが、どうやら温泉に入ることで実際にストレスを緩和していることが明らかになりました。ストレスホルモンの濃度を下げる効果があるようです。

温泉に入るニホンザルは海外でも「スノーモンキー」と呼ばれているようです。長野県の地獄谷野猿公苑に住んでいるニホンザルが有名ですが、京都大の霊長類研究所の研究グループがはじめて温泉入浴の効果を科学的に検証しました。

ニホンザルの温泉入浴

ニホンザルは長くて高密度な冬毛をもっており、とても寒い日本の冬でも体温を維持することができます。

ニホンザルの温泉入浴については、今から50年以上も前の1963年にはじめて観察されました。餌付けをしていた旅館「後楽園」の露天風呂でメスの子ザルが温泉につかっている姿が目撃されたようです。

この行動はほかのサルにも広がっていき、群れのメスザルの3頭に1頭は定期的に温泉を楽しむまで流行しているとのこと。ただし、大人のオスはあまり温泉に入らないようです。

このようなニホンザルの温泉入浴については、からだを温めることが目的と推測されていますが、裏付けとなる科学的な、生理学的なデータはこれまで得られていませんでした。

ストレスホルモンの減少

ニホンザルの温泉入浴の効果について詳細に調べるため、研究グループは12頭の大人のメスザルを対象に調査しました。4月から6月にかけての出産シーズン、10月から12月の交尾シーズンについて、温泉につかる時間を調べました。

その結果、春よりも冬、とくに寒さの厳しいシーズンに頻繁に温泉に入ることがわかりました。

次に入浴とストレスホルモンの関係について調べました。冬の寒いシーズンに糞を採取して、ストレスホルモンの代謝産物である「グルココルチコイド」の濃度を調べました。

その結果、入浴がしていない週と比べてグルココルチコイドの濃度が低いこと、さらにこの濃度の違いは冬期にのみ有意な差がみられました。つまり、春のシーズンでは入浴の有無でグルココルチコイド濃度の差は出てこないということです。

このことから、ニホンザルは温泉入浴によって冬の寒さによるストレスを緩和していることが明らかになりました。

ちなみにニホンザル社会で高順位にあるメスほど長い時間にわたって温泉に入ることができるようです。

そのため、高順位のメスほどストレスホルモンの濃度を下げることができる優位なポジションに君臨することができますが、一方では高順位のメスほど頻繁に攻撃的な争いに関わることが多いため、ストレスホルモンのレベルは高くなる傾向があるようです。なかなかうまくはいかないようです。

また、地獄谷には毎日、平均で500人ほども観光客が訪れてサルの姿を観察しています。これらの観光客はサルたちにストレスを与えているかどうかが心配になります。

ところが、観光客が原因となるストレスについて調べてみたところ、ストレスホルモンの上昇は見られなかったようです。観光客に見られることについては、サルたちはとくに気にしていないようです。

よりハードな仕事は老兵が担うシロアリ社会

1

アリやハチなどの昆虫は複雑な「社会生活」を営んでおり、それぞれの個体の年齢によって担当する仕事の内容が違っています。このような「齢分業」にはどのような意味があるのでしょうか。
記事を読む

蚊は2つのポンプを使って「ゴクゴク」と「ゴックン」を飲み分ける

1

蚊は液体のエサを飲み込むときに2つのポンプを巧みに使い分けることで、さまざまなエサを上手く飲み込むワザを身につけていることがわかりました。
記事を読む

テングザルの世界ではビッグな鼻と低音ボイスがオトコマエ

天狗のように長い鼻をもつ「テングザル」。いったいなぜ彼らの鼻はそれほど長いのか―この疑問に対する答えがわかったようです。彼らの鼻のサイズは、まさに「オトコマエ」の象徴であったという話です。
記事を読む

ネコにも「利き手」があることが判明

1

わたしたち人間には「利き手」というものがありますが、これはほかの動物たちでもいくつかの種で確認されています。そして、わたしたちの家族の一員にもなれる「ネコ」にも利き手の存在があるという。
記事を読む

ショウジョウバエにはオス脳とメス脳を切り替えるスイッチがある

1

男女では物事の捉え方や感じ方に違いがあるといった「脳の違い」についてよく言われています。実際に、脳の構造や神経回路に男女差が存在する可能性もありますが、人間の脳について性差の詳細はよく分かっていません。
記事を読む

オスはメスにプレゼントするようプログラムされている

1

人間界では男性が女性に結婚を申し込む際に指輪をプレゼントする習慣がありますが、動物界でも雄が気に入った雌に対して求愛するとき、プレゼントをする習性があるようです。ただし、自分が食べたものを口移しで雌に与えるという、ちょっと変わった贈り物ですが。
記事を読む

バーチャルリアリティ空間を使って飛行するハエの脳を解析

12
画像:理化学研究所

動物はエサなどを探し出すとき、脳はどのようにして外界の情報を処理しているのでしょうか。理化学研究所の研究グループは、ショウジョウバエに「バーチャルリアリティ空間」で探索行動をさせて、脳の機能を調べる方法を開発しています。
記事を読む

魚にも「利き手」が存在する 運動の左右差は生まれつきだが「利き」は学習で獲得される

5

文字を書いたりボールを投げるとき、普通は右手か左手かのどちらかを使います。いわゆる「利き手」というやつです。右利きや左利きなどの左右性は、人間だけに備わった性質なのでしょうか。いえ、どうやら魚にもあるようです。
記事を読む

ショウジョウバエの脳は紫外光を感じて時刻を認識している

1

動物がモノの形や色を認識するときは、光を感じるセンタータンパク質「オプシン」が使われます。人間の場合は明暗を認識するオプシンと、色を認識する3種類のオプシン(赤色、緑色、青色を認識)を眼にもっています。昆虫のモデル実験生物としてよく利用されているショウジョウバエの場合はどうでしょうか。
記事を読む

獲物を「狩る」衝動のスイッチをマウスで特定

 マウスが獲物を狩る衝動を起こすスイッチとなる神経を特定したと、米エール大の研究グループが科学誌「セル」で発表した。人間にも存在する神経だという。
記事を読む

犬歯には3億年前から「セックスアピール」という大事な役割があった

歯並びを崩しやすい「犬歯」は、さほど役割があるとも思われないためか、八重歯などの原因になっていると「抜歯」してしまうケースもあります。役立たず感のある犬歯ですが、実はとても重要な役目があったという話。どうやら、はるか大昔から「セックスアピール」のための大事な役割を果たしていたという。
記事を読む

世界で初めて「恐竜の脳」の化石を発見、良好な保存状態で脳組織が残された理由とは?

世界で初めて、恐竜の「脳」の化石が発見されています。イギリスの海岸で発見されたこの化石、いったいなぜ良好な状態で保存されていたのか。
記事を読む

魚にも「方言」がある?地球温暖化で思わぬ問題が発生する可能性

人間は言葉を話しますが、ほかの動物でも特別な「声」を発して仲間と情報を交換し合っているケースはたくさんあります。そして人間と同様に、地域によって微妙に違う「方言」があるそうです。
記事を読む

イヌは言葉の内容を左脳で、抑揚を右脳で把握している

 イヌも人間と同様に、人間が話す言葉の内容を左脳で、そして抑揚を右脳で把握していると、ハンガリーの研究グループが科学誌「Science」で発表した。
記事を読む