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音で色を感じる「共感覚」に規則を発見、ドレミファソラシと虹色が一致する

音や音楽を聞いたときに「色」を感じる人たちがいます。ある刺激に対して通常の感覚とは異なる別種の感覚をも生じる知覚的な現象を「共感覚」と呼びますが、音を聞くと色が見える感覚も共感覚の一種です。




共感覚についてはこれまでもさまざまな研究がされていますが、どのような音に何色を感じるかについては個人差があり、でたらめに決まっていると考えられてきました。

ところが、新潟大学脳研究所・統合脳機能研究センターの研究グループが15名の共感覚者を集めて詳しく調べたところ、どうやらある一定の法則性が存在することが明らかになっています。

ドレミファソラシは虹色に見える

共感覚については、その存在自体については認められているものの、これまでの研究ではごく少数の共感覚者を対象とした調査が散発で行われているに過ぎません。そこで、研究グループは15名という比較的多数の共感覚者を対象として実験を行いました。

実験では、さまざまな音に対して感じる「色」を自由に選択してもらいました。その結果、確かに個人差があることが確認されています。しかし、15名の共感覚者に選ばれた色の平均値を計算してみると、隠れた法則があることがわかりました。

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共感覚者が選んだ色(新潟大学)

上の図は、15名の共感覚者がさまざまな音に対して選んだ色を○で、そしてそれらの色の平均を□で示しています。

15名が選んだ色の平均を音の順に並べてみると、なんと虹色のパターンに合致することがわかりました。ドレミファソラシの7つの音と、虹の七色がうまく順序よく対応しています。

さらに、心理学実験によって詳しく調べてみると、色は「音そのもの」ではなくて、「音の名前(階名)」と結びついている可能性が明らかになっています。

しかしその原因については明らかにされていません。例えば「レと黄色」や「ソと水色」については、もしかすると「ドレミの歌」が原因になっているのかも知れません。「レはレモンのレ」「ソは青い空」ですね。

しかし、他の色についてはうまく説明することができません。今回実験を行ったのは日本人についてですが、海外の共感覚者についてはどうでしょうか。もしかすると、それぞれの国ごとに特徴的なパターンがみられる可能性もあります。

それにしても、ドレミファソラシと虹の七色が完全に一致するというのはなかなか興味深いことです。もっと詳しく調べていくと、これまでは知られていなかった脳の機能を解明することにつながるかも知れません。

Musical pitch classes have rainbow hues in pitch class-color synesthesia(Scientific Reports)

ドレミファソラシは虹の色-脳が感じる、音と光の不思議なつながり(新潟大学)