がん細胞の細胞死を引き起こす抗体とその受容体の複合体構造を解明したと、日本原子力研究開発機構(JAEA)の玉田太郎グループリーダーらの研究グループが英科学誌「Scientific Reports」で発表した。より効果的な抗がん剤の作製につながると期待される。
ヒトを含めた高等生物では、細胞表面にある特定の受容体タンパク質が出す信号が細胞死「アポトーシス」を引き起こすことが知られている。
がん細胞にアポトーシスを起こす受容体タンパク質のひとつに「腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド受容体(TRAIL-R2)」がある。また「KMTR2」と呼ばれる抗体は、TRAIL-R2に特異的に結合してがん細胞のアポトーシスを引き起こす。
研究グループは、KMTR2とTRAIL-R2の複合体の結晶を作製し、X線結晶構造解析法で立体構造を決定した。
その結果、KMTR2の軽鎖にあるアスパラギン残基とアルギニン残基が認識し合うことで二量体を形成していた。すなわち、KMTR2とTRAIL-R2が2対2の複合体を形成することで、がん細胞のアポトーシスを引き起こすことが明らかになった。
(via マイナビ)