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骨折の治癒を免疫細胞「ガンマデルタT細胞」が促進する

 骨折の治癒過程において免疫細胞が骨の形成を促進する仕組みを解明したと、東京大の高柳広教授らの研究グループが科学誌「Nature Communications」で発表した。新しい骨折治療法の開発につながると期待される。

 骨折治療では折れた骨を元の位置に戻して固定して治癒する。固定期間が長くなると日常生活に支障をきたし、高齢者では筋力が低下するため、治癒期間の短縮が重要な課題となっている。

 研究グループはマウス骨折モデルで骨折治癒における免疫系の役割を検討した。

 その結果、骨折に伴って特殊な免疫細胞「ガンマデルタ(γδ)T細胞」が増加し、「インターロイキン(IL)-17」を産生することを突き止めた。

 また、IL-17は骨折部位に含まれる間葉系幹細胞を増やして骨芽細胞に成長させ、骨の形成を促進することがわかった。

 さらに、IL-17やガンマデルタT細胞を欠損するマウスでは、骨折治癒が遅延することも確認された。

参考:東京大学