ES細胞がテロメア長を維持することで老化を回避し長期間の培養に耐える仕組みを解明したと、理化学研究所の丹羽仁史チームリーダーらの研究グループが科学誌「Stem Cell Reports」で発表した。ES細胞やiPS細胞の安定的な培養への応用が期待される。
細胞は一般的に、分裂を繰り返すことで染色体DNAの末端にある「テロメア」が短くなり老化するが、ES細胞は老化することなく半永久的に培養することができる。
研究グループは、マウスES細胞を顕微鏡下で長時間観察した。その結果、ES細胞の細胞周期の長さはほぼ均一と考えられていたが実際には大きなばらつきがあることこと、細胞周期が長いES細胞はテロメアが短く削られた状態にあることがわかった。
通常、テロメアの短縮が進むと細胞は分裂できなくなり細胞死へと導かれる。
しかしES細胞では、テロメアが短い状態のときに「Zscan4」というタンパク質が増加してテロメアの長さを戻し、細胞の老化を未然に防いでいることがあきらかになった。
参考:理化学研究所