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経口補水液は家で簡単に自作できる! 塩と砂糖で熱中症に備える

経口補水液

 日本各地で梅雨明けが発表され、いよいよ厳しい暑さが到来する季節になってきました。真夏の暑さで絶対に気をつけたいのが「熱中症」。症状が悪化してしまうと後遺症が残ったり、死に至るケースもあります。ここでは、熱中症などの緊急時に必要となる「経口補水液(ORS)」を簡単に自作する方法を紹介します。

熱中症の症状

 熱中症は、体内の水分や塩分のバランスが崩れてしまい、体温の調節がうまくできなくなることが原因です。体内に熱がこもってしまい、さまざまな症状が出ます。

 重症度にしたがって以下のような症状が出ます。

  1. めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、こむら返り
  2. 頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感
  3. 返事がおかしい、意識消失、けいれん、からだが熱い

熱中症にかかったときの対処法

涼しい場所へ移動させる

 まずはエアコンなどが効いている室内や、風通しのよい日陰など、とにかく涼しい場所を探して非難させます。

からだを冷やす

 着ている服をゆるめて、からだを冷やします。とくに、首の周りや脇の下、足のつけ根などに風を当てるなどしましょう。

水分を補給する

 失われてしまった体内の水分を補う必要があります。水でもかまいませんが、体内への水分補給がはやい「経口補水液」のほうがベターです。

 もし大量の汗をかいている場合は、体内の塩分が足りなくなっている可能性もあるため、その意味でも塩分を含む経口補水液のほうが適しています。

経口補水液とは何か?

スポーツドリンクと経口補水液の違いは何か

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 経口補水液は、塩分と砂糖を溶かした水です。スポーツドリンクと似ていますが、目的が違います。

 スポーツドリンクは運動で失われた塩分とエネルギーをはやく補給するために使用される、いわば「栄養補給剤」です。

 一方、経口補水液の第一の目的は、「水分補給」です。なるべくはやく「水分を体内に吸収」するためにつくられた組成になっているため、スポーツドリンクとは塩分や糖分の濃度が違います。

経口補水液が水分吸収に適している理由

 通常、水分は大腸から吸収されます。しかし脱水症状や下痢の症状が出ているときは、大腸からの水分吸収がうまくできていません。

 一方、小腸には、ナトリウムイオンとブドウ糖が吸収されるときに水も同時に吸収される仕組みがあります。この「小腸から水分を吸収する仕組み」を利用したのが経口補水液です。

 通常とは異なる水分補給のメカニズムを利用しているわけですね。

経口補水液を準備する

 経口補水液は、厳密にイオン濃度が検討されたものがメーカーから市販されています。大塚製薬が販売している「OS-1」が有名ですね。

 前もって準備ができる場合は、市販の経口補水液を購入して備蓄しておいたり、イベントなどに携行しておくのがよいでしょう。

大塚製薬「OS-1」

経口補水液を自作する

 しかし、簡易の経口補水液であれば、自分でつくることも可能です。市販のものが手に入らない場合でも、水と塩と砂糖さえあれば簡単に作製できます。

 作り方はいたって簡単、以下のものを混ぜ合わせます。

  • 水 1リットル
  • 砂糖 40グラム(大さじ 4杯半)
  • 塩 3グラム(小さじ 半分)

 
 しかし実際に飲んでみると、かなりまずいことがわかります。思ったよりも甘みが強く、塩味も感じます。もし飲みにくい場合は、市販のレモン汁などを少量加えると、飲みやすくなるので試してみてください。

 それから、気をつけたい点は「作り置きができない」ことです。市販の経口補水液とは違って殺菌処理していないため、冷蔵庫で保存するにしても雑菌の繁殖は避けられません。基本的には作製した当日中に使用するようにしましょう。