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蚊は2つのポンプを使って「ゴクゴク」と「ゴックン」を飲み分ける

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蚊は液体のエサを飲み込むときに2つのポンプを巧みに使い分けることで、さまざまなエサを上手く飲み込むワザを身につけていることがわかりました。




2種類のポンプを使い分ける

人間が食べ物を飲み込む方法といえば、一般的にはゴクッと飲み込む1種類しか思いつきません。ところが広く生物界を見渡すと、異なる2種類のポンプを使い分けてエサを飲み込む生物も存在しています。

われわれにとってはあまりよいイメージのない「蚊」もその1種で、エサを飲み込む際には2通りのやり方をもっているという。

東北大などの研究グループは、X線位相コントラスト顕微鏡と呼ばれる測定装置を構築して、蚊の頭部を透視して観察しました。

その結果、蚊の頭部に存在するポンプ運動の可視化に成功。どうやら、蚊はエサを飲み込む際には「ゴクゴクモード」と「ゴックンモード」を使い分けていることがわかりました。

ゴクゴクモードとは連続的に飲み込むときのやり方で、吸血のときの飲み方です。一方、ゴックンモードは針内に詰まりがあったり粘り気の強い蜂蜜のようなエサを力強く飲み込むときのモードです。

研究グループが実験と理論解析を行ったところ、これら2つの飲み込みモードでは巧みに吸い込み圧力をコントロールしていることがわかりました。

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頭部のポンプを大きく広げてゴックンと飲み込む瞬間(東北大)

蚊は、ふだんはこれら2つのポンプを交互に動かしていますが、吸引力を上げたい「ここぞ」というときには同時にポンプを動かして、のどの詰まりや粘り気の強いエサを効率的に飲み込むことができます。このようにして、過酷な生態環境を生き延びてきたと考えられるという。

これらの蚊のポンプの使い方は、連結された微小ポンプを巧みに使った吸引方法に応用できます。そして、将来的にはマイクロスケールの流体駆動デバイスなどの設計にも役立つものと期待されます。