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肺小細胞がんや悪性リンパ腫など、CBP遺伝子とp300遺伝子が「合成致死」の関係

合成致死

 肺小細胞がんや悪性リンパ腫などで変異があるCBP遺伝子について、p300遺伝子と互いに補う関係にあり両方が機能しなくなると細胞が死滅する「合成致死」の関係にあると、国立がん研究センターの研究グループが科学誌「Cancer Discovery」で発表した。新たな治療法の開発につながると期待される。

 CBP遺伝子が変異したがん細胞では、正常細胞と比べてp300タンパク質の必要性が高まる。これは、CBPタンパク質とp300タンパク質が互いに補いながら働くためでCBPタンパク質が異常となったがん細胞ではp300の機能が生存に必要なためと考えられる。

 研究グループは、CBPタンパク質とp300タンパク質の両方がなくなると細胞に必要なMYCタンパク質の発現がなくなるため細胞が死滅することを突き止めた。

 このように、CBP遺伝子とp300遺伝子が、その両方がなくなると細胞が生存できない「合成致死」の関係にあるため、p300タンパク質を阻害する薬剤によってCBPが変異したがん細胞を効率よく細胞死に導くことができるという。

(via 国立がん研究センター