ランゲルハンス島を安全に凍結保存する「ハイドロゲルカプセル」を開発

　膵臓にある「ランゲルハンス島（膵島）」と呼ばれる内分泌腺を安全に凍結保存する新たな手法を開発したと、沖縄科学技術大学院大のエイミー・シェン教授らの研究グループが「Advanced Healthcare Materials」で発表した。１型糖尿病の治療のための膵島移植の課題解決につながる可能性があるという。

　１型糖尿病患者ではインスリン産生細胞が破壊されるため、インスリン注射を毎日行う必要がある。インスリン投与から解放されるための治療法として膵島移植があるが、インスリン産生細胞の安全な採取や保存、輸送などで課題が多い。

　研究グループは、水を大量に含む多孔質の微小構造をもつ「ハイドロゲルカプセル」を使って膵島を凍結保存する手法を開発した。

　ハイドロゲルカプセルには、自由水、凍結結合水、および不凍水という３種類の水が含まれている。不凍水を多く含むことから氷晶による細胞のダメージが抑えられ、凍結防止剤の使用を減らすことができるという。

　また、カプセルに「酸素感受性蛍光色素」を加えることで、細胞の生存状態をリアルタイムで確認することが可能になった。

　膵島の酸素摂取量から細胞の状態がわかるため、蛍光色素を使って酸素量をリアルタイムで測定することで細胞の健康状態を確認できるという。

（via 財経新聞）