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加齢による高血圧リスクの原因となる受容体を特定、アンジオテンシンIIの作用を促進

 加齢に伴う高血圧リスクの上昇について、原因の一端を担う可能性のある受容体を特定したと、九州大の西田基宏教授らの研究グループが米科学誌「Science Signaling」で発表した。副作用の少ない心血管病治療薬の開発につながると期待される。

 日本では高齢者の2人に1人が高血圧と診断されている。高血圧は脳卒中や心臓病の原因となることから、予防と治療は非常に重要な課題となっている。

 血圧調節に関与する生理活性ペプチド「アンジオテンシンII」は、アンジオテンシン受容体(AT1R)に作用して血圧を上昇させる。

 研究グループは、加齢に伴い発現が上昇する「プリン作動性P2Y6受容体(P2Y6R)」がAT1Rと複合体を形成してアンジオテンシンIIによる血圧上昇を促進することを、マウスの実験で明らかにした。

 また、P2Y6Rと結合する化合物がこの複合体の形成を阻害し、血圧の上昇を抑制することも確認した。

 西田教授は「加齢に伴うAT1R-P2Y6R複合体の増加が、高血圧リスク上昇の原因の一端を担っているのかも知れない」としている。

(via 九州大学