バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 5.19 Sun

脳脊髄の髄鞘の再生をMRIで可視化することに成功

 MRIを使って脳脊髄の髄鞘の再生を可視化することに成功したと、慶應義塾大の岡野栄之教授らの研究グループが科学誌「The Journal of Neuroscience」で発表した。

 多発性硬化症は、脳脊髄の正常な機能に重要な「髄鞘」が崩壊と再生を繰り返す神経難病で、国内では約2万人の患者がいるとされる。従来の方法ではその再生を可視化することは困難だった。

 また、脊髄損傷に対するiPS細胞を使った神経再生医療でも髄鞘の再生は機能回復に重要だが、患者の負担なく髄鞘再生を可視化する方法は確立されていない。

 研究グループが今回開発したMRI撮影法(ミエリンマップ法)は、すでに多くの病院に設置されているMRIを用いて約10分間程度で撮影が可能で、患者への負担は極めて小さい。

 今後、多発性硬化症などの神経難病の診療や、脊髄損傷に対する再生医療の実現化でも活用されると期待される。

参考:慶應義塾大学