緑内障の治療薬をナノ粒子化して、角膜のバリヤ機能を突破する高い薬理効果を確認したと、東北大の研究グループが科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表しました。さまざまな化合物にも応用できるため、新たな眼科製剤の作製法につながると期待されます。
角膜には外部からの異物の侵入を防ぐためのバリヤ機能があるため、一般的な点眼薬は0.1%以下しか眼内に移行することができません。
角膜の表層には疎水的な角膜上皮があり、さらに最表層には細胞が密になっている「タイトジャンクション」が形成されています。
そのため、疎水性の化合物のナノ粒子を点眼できれば、サイズが小さいためにタイトジャンクションを通過することができ、さらに疎水的な角膜上皮も透過することが可能になります。
研究グループは、緑内障の治療薬「ブリンゾラミド」に疎水性の部分を導入したプロドラッグを作製し、独自のナノ粒子化技術をほどこしてナノ粒子点眼薬を作製しました。
この点眼薬をラットに投与して効果を調べたところ、実際に高い薬理効果が確認されました。
ナノ粒子点眼薬はほかの薬理活性物質にも応用が可能なため、新たな眼科製剤作製法として発展できると期待されます。