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むかしの「集中力」を取り戻すためには「暗記学習」をするのがよい

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中高生や大学生のころには「集中力」が高いことが自慢だった人も、年齢を重ねるごとにだんだんと衰えていくものですね。受験勉強を頑張っていた高校時代、2時間や3時間は平気で勉強に集中し続けられていたという人も多いと思います。




ところが最近はどうでしょうか。仕事に関係する専門知識や能力、交渉ごとなどのスキルは身についたかも知れないけれど、デスクに座って集中し続けられるのはいったいどのくらいの時間なのか。1時間も集中できたらいいほうじゃないかと思います。

もちろん、長く集中できていればよいというわけではないですが、若いころと比べるとすぐにアレヤコレヤと雑念が脳内に入り込んできて、一つのことに目いっぱい集中することができなくなっています。

年齢を重ねて30代を超えてくると、だんだんと体力もなくなってくるし、頭の方も記憶力に自信がなくなってきたり、計算力や頭の回転も落ちてきている気がします。

「脳は年を取らない」という話も聞きますが、実際には、強制的とはいえ毎日勉強に励んでいた学生のころと比べれば、脳力が低下していても仕方がないことかも知れませんね。

そして、衰えてきた脳力の中には「集中力」も含まれています。数年前に「脳トレ」なんていうものが流行っていましたが、「集中力」そのものをアップさせる方法はあるのでしょうか。

どうやら、集中力を向上させる鍵となるのは「暗記」にあることが、研究で明らかになっています。

暗記する行為が集中力を高めてくれる

いつ何をどのようにやったかなど、いわゆる「エピソード記憶」などと違って、例えば英単語を覚えたり、歴史上の人物の名前、数学の公式などを覚える「暗記」という行為には、特別な脳の使い方があるようです。

暗記する行為というのは、それだけで通常の集中力ではできないことです。脳内の神経回路を活性化する必要があるし、単に本を読んで理解したり人が話している内容を聞いて理解するよりも、大きな集中力を必要とします。

そのため、暗記そのものを毎日継続して行うことで、自然と「集中力」を向上させる訓練をすることにもつながるというわけです。

暗記する内容は何でもかまいません。まあ、どうせなら無意味な数字の羅列だったり駅名なんかを必死で覚えるよりは、何か役に立つことの方がいいですよね。

安易ではありますが、よく使う英会話のフレーズ集なんかを用意して、毎日ひとつずつ覚えていけば、集中力は鍛えられるし英会話力をアップすることもできますね。

もちろん、何か趣味に関係することなど、やっていて楽しくなるようなことも、継続しやすいのでよいかも知れませんね。

音楽を聴くと集中力がアップする

暗記をしようとすれば、自然と集中力を鍛えるトレーニングにもつながるという話をしましたが、逆に言えば、より記憶力を高めるためには集中力が必要になるということです。

そして、ここでちょっと違う話になりますが、どうやら「音楽」が脳によい影響を与えることが研究によって明らかにされているようです。

音楽には、気分をリラックスさせてストレスを解消してくれるなどの効果があることは昔から言われていることです。

ところが最近の研究からは、ただ単に気分を変えてくれるだけではなくて、「認知能力」が高まるといった脳の効果が確認されてきています。

スタンフォード大学の研究グループが発表した実験結果によると、音楽には学習能力を高めたり、さらには集中力を高めてくれる効果があることがわかったとのこと。

音の動きの中にある旋律の変化に対応して、脳内の状況が劇的に変化することが、理想的な学習環境を作り出す。

例えば、授業中などに音楽を流すことのメリットも言われています。音楽は、学習活動のための「サウンドトラック」としての効果があるという。つまり、音楽を聴くことによって、情報に対する人間の関心を高める効果があるそうです。

音楽による集中力の増加によって、本などにさらに没頭することにもなる。情報がリズムや音楽的要素による旋律と結びつくことで、学習内容を思い出すきっかけにもなる。

昔から「ながら学習」は集中力を弱めるからやってはいけないと教えられてきました。確かに、テレビやラジオを聴きながらの勉強は、ついそちらに意識が向いてしまうので気が散ってしまうけれども、「音楽」を聴きながらの勉強であれば、むしろ学習効果が高まるようですね。

どのような音楽がよいかは個人差があるかも知れませんが、歌声が入っていると歌詞の内容が脳に飛び込んでくるリスクがあるので、できれば演奏だけのものがよさそうな気はします。

年齢を重ねた脳に昔の集中力を取り戻すために、好きな音楽を聴きながら何かを暗記する勉強を毎日続けてみるのもよいかも知れません。