自己免疫疾患によって生じる強皮症など「線維化疾患」を引き起こす細胞源が、骨髄にある間葉系幹細胞だと、慶應義塾大の研究グループが科学誌「eLife」で発表した。自己免疫疾患の病態解明や移植片対宿主病(GVHD)の予防法開発につながると期待される。
自己免疫疾患による線維化は、T細胞などの免疫系が自己の細胞を異物と誤って認識して体の結合組織を攻撃することで生じる。これまで、何が結合組織にT細胞を集積させるのか不明だった。
研究グループは、強皮症モデルマウスを用いて実験した。このモデルでは、ドナー骨髄幹細胞がレシピエント体内で過剰な免疫応答を引き起こし、強皮症に類似した症状を示す。
ドナー骨髄幹細胞の中から造血幹細胞と間葉系幹細胞(MSC)を分離してレシピエントへ移植したところ、MSCを移植した場合のみ強皮症のような炎症と線維化が起こることがわかった。
また、T細胞とドナーMSCの相互作用の局在が確認され、さらにドナーMSC移植後のレシピエントT細胞をT細胞がつくられないヌードマウスに移すと強皮症に類似した症状が起こることもわかった。
(via 慶應義塾大学)