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花粉管が卵母細胞を見つける鍵となる受容体キナーゼを発見

 被子植物の雄である「花粉管」が雌である卵母細胞を見つけるための受容体キナーゼを発見したと、名古屋大の東山哲也らの研究チームが科学誌「Nature」で発表した。植物が同種間で受精するための仕組みの全容解明につながる成果だという。

 花粉管は、自身を伸長させて雌しべの中を進み、卵細胞を含む雌しべが分泌する誘引物質「ルアー」を発見する。

 ルアーは植物の種類で異なり、同種の花粉管のみを呼び寄せるが花粉管がルアーを感知する仕組みはわかっていなかった。

 研究チームは、シロイヌナズナの花粉管の先端部分でルアーを感知する受容体キナーゼ「PRK6」を発見した。この受容体はほかの複数の受容体と協調して働き、雌しべ組織からのシグナルを正確に感知することもわかった。

 これらの受容体が雌しべからのさまざまなシグナルを受け取り、ルアーを感知できる距離まで花粉管を伸長させることで、花粉管が雌しべの中を目的地まで迷わずに進むことが明らかになった。

 受精の仕組みの解明のほか、種子生産の効率化や異種間受精の技術開発につながると期待される。

参考:JST