神経幹細胞の移植で「皮質脊髄路」の再生に成功、脊髄損傷後の麻痺を改善

2016年4月18日　バイオニュース／ニュース，

　脊髄由来の神経幹細胞を移植することで、運動機能に重要な神経回路「皮質脊髄路」を再生することに成功したと、北海道大などの研究チームが科学誌「Natire Medicine」で発表した。脊髄損傷の有効な治療法の開発につながると期待される。

　皮質脊髄路は、大脳と脊髄をつなぎ手指を使うような細かい動きを司る神経回路。脊髄損傷などで生じた運動まひを回復するにはこの神経回路の再生が重要だと考えられているが、有効な方法はなかった。

　研究チームは、ラット脊髄由来の神経幹細胞をラットの脊髄損傷部に移植して神経の欠損部を新しい組織で再構成することで、皮質脊髄路が再生することを発見した。

　また、この方法で皮質脊髄路を再生させると麻痺していたラットの上肢の運動機能が改善することを確認した。

　さらに、ヒトiPS細胞から類似の神経幹細胞を作製してラットに移植した場合も、同様に皮質脊髄路の再生効果があることがわかった。

参考：北海道大学