これまでに知られていないウイルス感染経路をHBVで発見

2017年4月18日　バイオニュース／

これまでに知られていなかった、細胞外小胞を介した新しいウイルス感染経路をHBVで発見したと、東京都医学総合研究所の研究グループが発表しました。

B型肝炎ウイルス（HBV）に感染すると慢性的な肝炎を引き起こし、肝硬変や幹細胞がんを引き起こします。世界では３億５千万人の慢性HBV感染者がいるとされており、B型肝炎の根治療法はいまだ確立されていません。

HBV感染に対する有効なワクチンはありますが、ワクチン接種者であってもHBVに感染する事例が報告されており、ワクチン免疫を回避するメカニズムの存在が考えられていました。

研究グループは、ヒト培養肝細胞を用いて解析したところ、細胞外小胞にHBVウイルスの遺伝子やタンパク質が内包されていることがわかりました。

また、HBVを内包した細胞外小胞はヒトの肝細胞に感染してウイルスの複製が起こること、さらにHBVの中和抗体では阻害できないことが明らかになりました。

今回の研究結果から、従来のワクチン戦略ではHBV感染に対して不十分であることがわかりました。今後は細胞外小胞を介した感染経路を阻害する予防効果の高いワクチン開発が期待されます。