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アサリ「謎」の大繁殖 岩国

 岩国市尾津町の門前川河口でアサリが謎の大繁殖をしている。3~5月に漁師が岩国魚市場に7・6トンを持ち込んだ。これは山口県内で2011年に水揚げされた総量の6割以上にあたる。統計の数字に表れない潮干狩り客が持ち帰る量も相当あるとみられ、全国的には数が激減しているアサリの急増に専門家も首をかしげている。

 錦川水系の門前川は岩国市川下地区で今津川と分かれ、米海兵隊岩国基地南側の瀬戸内海に注いでいる。

 岩国市漁協によると、アサリは15年以上採れなかったが、昨年は岩国魚市場に0・7トンが持ち込まれた。ことしはさらに急増し、5月末までで昨年の10倍を上回る量が水揚げされている。

 3、4月には口コミで知った多くの市民も潮干狩りに「集結」。200台以上の車が海岸沿いの市道を埋める事態になったという。

 謎の豊漁に驚いた岩国市漁協は今月1日、「資源保護」を理由にアサリ漁と潮干狩りを来年1月末まで禁止。1990年代後半ごろまで徴収していた潮干狩り客への入漁料を来年から再開することも決めた。

 門前川河口では毎年、県や市が母貝をチヌなどの食害から守るためにネットで保護して放流してきた。アサリを食べる巻き貝の駆除も行っている。

 大繁殖はそうした取り組みの成果ともみられるが、市漁協の都築宏行参事(71)は「(市内北側の)今津川でも同じ取り組みをしているが採れていない。どうして門前川だけ増えたのか分からない」と首をかしげる。

 山口県水産研究センター内海研究部(山口市)も「アサリは条件があえば突然増えるが、局地的にこれほど増加するのは最近では聞いたことがない」と驚いている。

 出典[中國新聞]