バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 4.29 Mon

歯や皮膚など「上皮系器官」の増殖や分化に同じ遺伝子が関与

 歯や皮膚などの「上皮系器官」の細胞の分化や増殖に同じ遺伝子が関わっていることを東北大の研究グループが明らかにした。形状や大きさの制御が難しい歯や皮膚の再生医療やがんの診断、治療への応用が期待される。

 研究グループは、歯などの形成に関与する遺伝子「エピプロフィン」を欠損させたマウスやヒトの細胞を使い、上皮系器官ができる過程を調べた。歯や皮膚の元になる組織幹細胞は分裂して前駆細胞になり、増殖、分化、増殖の停止へと段階が続くが、いずれの段階でもエピプロフィンが、作用する分子を変えながら機能していることがわかった。エピプロフィンが分化を制御していることが明らかになったことで、正常な歯や皮膚の再生が可能になる。また、異常な細胞が増え続けるがんの悪性度診断や遺伝子治療にも応用できるという。

 中村准教授によると、「一つの遺伝子がオーケストラを指揮するように細胞の運命を決定付け、増殖、分化、増殖停止の全ての機能を有していた。腎臓や肺の再生にも応用できる技術だ」という。

参考:河北新報