過剰な炎症反応を制御する新たな分子を発見したと、理化学研究所の田中貴志チームリーダーらの研究グループが英科学誌「Scientific Reports」で発表した。アレルギー疾患や自己免疫疾患の新たな治療法の開発につながると期待される。
生体にウイルスや細菌が感染すると、「樹状細胞」と呼ばれる免疫細胞が病原体を認識して炎症反応が発生し、これらを攻撃する。しかし、炎症反応が過剰に起こるとアレルギー疾患や自己免疫疾患となることが知られている。
樹状細胞が炎症反応を発生する際には、転写因子「NF-κB」が細胞質から核内に移動し、炎症性サイトカインなどの遺伝子を活性化させる。
研究グループは、細胞質内にあるタンパク質「PDLIM1」がNF-κBと結合して核内への移動を妨げ、炎症反応を抑制することを発見した。また、この抑制にはPDLIM1が「αアクチニン」と呼ばれるタンパク質と結合することが重要であることを突き止めた。
さらに、PDLIM1を欠損したマウスの樹状細胞ではNF-κBの核への移動が増え、炎症性サイトカインの産生量が2~3倍になることも明らかになった。
(via JST)