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脳由神経栄養因子「BDNF」の遺伝子変異は発達期に好影響を与えている

 「脳由来神経栄養因子(BDNF)」遺伝子の変異型が発達期における脳の後頭-頭頂領域の体積や処理速度に好影響を与えていると、東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授らの研究グループが英科学誌「Cerebral Cortex」で発表した。

 BDNFは神経細胞に栄養を与えて脳細胞の成長や維持を助けるタンパク質。その生成を制御する遺伝子には変異型があり、BDNFの生成量が減少すると考えられている。

 この変異型をもつ割合はとくにアジアで多く、脳活動や脳体積、認知機能が低下すると欧米の研究で報告されてきた。しかし近年の研究では、そのような悪影響は必ずしも支持されないことがわかってきた。

 研究グループは、5歳から18歳の185人を対象として知能検査とMRI撮像を実施した。その3年後に再び検査を行い、遺伝子型と知能検査、脳局所の灰白質容量を解析した。

 その結果、BDNF遺伝子の変異型をもっていても、少なくとも発達期においては悪影響はあまりなく、むしろ認知機能の一部や脳体積に好ましい影響があることがわかった。

(via 東北大学