アルツハイマー病のマウスで思い出せなくなった記憶を引き出すことに成功したと、理化学研究所の研究グループが英科学誌「Nature」で発表した。アルツハイマー病は記憶が消えるのではないことを示しているという。
研究グループは、正常なマウスとアルツハイマー病のマウスを飼育箱に入れ、それぞれ脚に微弱な電流を流して不快な体験を記憶させた。
その後、飼育箱から出して24時間後に再び箱に戻した。
正常なマウスの場合は不快な体験を思い出しておびえたが、一方でアルツハイマー病のマウスはそのような態度を示さなかった。
そこでアルツハイマー病マウスに対して、脚に電流が流れたときの記憶を担っているとみられた脳細胞を刺激したところ、正常なマウスと同じようにおびえるようになった。
研究グループは、「アルツハイマー病は、記憶が消えるのではなく、記憶を思い出す機能が働かなくなる病気であることを示唆する結果だ」としている。
参考:読売新聞