エイズ患者で発症する悪性リンパ腫の原因遺伝子を特定したと、熊本大の研究グループが発表しました。また、既存の薬剤によって治療できる可能性が明らかになりました。
現在、さまざまな抗ウイルス薬が開発されていることから、エイズそのもので死亡することは少なくなりました。
しかし一方で、HIVの感染者の3人に1人は悪性腫瘍で死亡しており、とくに10人に1人は悪性リンパ腫で亡くなっていることが大きな問題となっています。
特に予後が最も悪い「原発性滲出性リンパ腫」が発症するメカニズムについてはよく分かっておらず、有効な治療法も確立されていません。
研究グループは、原発性滲出性リンパ腫において転写因子「PU.1」の発現が抑制されていること、その原因としてPU.1遺伝子の発現を調節するプロモーター領域のメチル化が起こっていることを明らかにしました。
また、モデルマウスを使った実験でPU.1の発現を回復させたところ、リンパ腫細胞の細胞死を誘導できることもわかりました。
さらに、他の病気ですでに使用されている脱メチル化を誘導する薬剤「アザシチジン」に効果がることも明らかになりました。