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拒食症の10代女性、欲求や衝動を制御する脳の部位が小さい

 拒食症の10代女性では欲求や衝動を制御する脳の部位が小さくなっていると、福井大の研究グループが米オンライン科学誌「PLOS ONE」で発表した。精神療法だけでなく脳に対する治療も必要な可能性がある。

 拒食症は、極端な食行動を引き起こす精神疾患「摂食障害」の一種で、若い女性に多い。主にカウンセリングなどの精神療法が行われるが、治りにくいことで知られている。

 研究グループは、初診で拒食症と診断された12~17歳の女性20人の脳をMRI(磁気共鳴画像装置)で調べ、食行動に問題のない11~16歳の女性14人と比較した。

 痩せた影響などで患者の脳の容積は全体的に10%程度少なかったが、特に前頭野にある「下前頭回」の減少率は左で19.1%、右で17.6%(平均値)と突出していたという。

 また、拒食症の期間との関係ははっきりしていないが、最年長の17歳に近づくほど容積が小さくなる傾向が確認された。

 「下前頭回」は、欲求や衝動をコントロールしたり、行動の抑制をつかさどる脳の部位。「太りたくない」という願望に歯止めをかけられない状態で固定化しているため、脳に対する治療も必要な可能性がある。

 福井大の藤沢隆史・特命助教は「精神面だけではなく、下前頭回の容積も何らかの方法で戻す必要があるのだろう。今回の成果を基に、有効な治療法が見つかるかもしれない」としている。

(via 読売新聞