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母親の腸内細菌が少ないと生まれてくる子に発達異常、マウスの実験

 腸内細菌が少ない母親から生まれた子供では脳の発達に影響が出る可能性があると、福井大の松崎秀夫教授らの研究グループが米科学「PLOS ONE」で発表した。腸内環境を整えることで予防につながる可能性があるという。

 研究グループは、妊娠期のマウスに抗生物質を与えて腸内細菌を減らし、生まれた子を観察した。

 その結果、正常マウスから生まれた子と比べ、生後4週で平均体重が2グラム(約12%)軽く、夜行性なのに暗闇での活動が低下し、広い空間では不安から壁沿いを移動するなど異常な行動が確認された。生後7~8週でも低体重で、また壁沿い移動など異常があった。

 また、正常マウスから生まれた子を、腸内細菌を減らした母マウスに育てさせた場合でも、生後4週で暗闇での活動低下など異常が見られた。

 一方、腸内細菌を減らした母マウスから生まれた子が正常な母マウスに育てられた場合には、正常な行動を示した。

 このことから、出生後に脳の発達が受ける影響があるとみられるという。

 研究グループは、健康効果がある「微生物バイオティクス」などを母子マウスに与えて腸内環境を整えることで、異常行動を予防できるかの研究も始めているという。

(via 福井新聞