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カビや細菌に対抗する免疫システムを活性化する新しい遺伝子「Sherpa」を発見

シェルパ

 カビや細菌などに対する免疫反応を活性化する新しい遺伝子「Sherpa(シェルパ)」をショウジョウバエで発見したと、東北大の倉田祥一朗教授らの研究グループが発表した。似た遺伝子はヒトにも存在することから、自然免疫を活性化する新たなメカニズムの解明につながる可能性があるという。

 カビなどの感染時には自然免疫の「Toll経路」が活性化して免疫反応が起きることがわかっていたが、Toll経路を活性化する仕組みはまだ充分に解明されていない。

 研究グループは、Toll経路の活性化を起こしやすい培養細胞を探索し、DL1細胞と呼ばれる細胞がToll経路の解析に適していることを発見した。そこで、この培養細胞を用いてショウジョウバエの約15000遺伝子からToll経路に関わる遺伝子を網羅的に解析、新たにシェルパを発見した。

 また、シェルパを失ったショウジョウバエではカビなどに対抗するための抗菌ペプチドを充分に作ることができないこと、シェルパがToll経路の活性化に必要であることが明らかになった。

 さらに、シェルパは自分自身やこの経路のシグナル伝達因子にユビキチンを付け、「Toll受容体」がある細胞膜に局在化させることで、この経路を活性化している可能性が示された。

(via 日刊工業新聞 JST