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ピロリ菌の病原タンパク質「CagA」はエクソソームで全身に運ばれる

エクソソーム

 ピロリ菌の病原タンパク質が細胞外小胞「エクソソーム」に含まれて全身に運ばれることを発見したと、京都大の秋吉一成教授らの研究グループが英科学誌「Scientific Reports」で発表した。胃のピロリ菌感染が全身疾患を引き起こす仕組みの解明につながると期待される。

 ピロリ菌に感染すると、タンパク質「CagA」が胃上皮細胞内の分子と結合してがん化を促進することが知られている。一方で、ピロリ菌感染が心疾患や血液疾患、神経疾患などさまざまな全身疾患の発症に関わることが報告されているが、その仕組みについては不明だった。

 研究グループは、ピロリ菌に感染した胃がん患者の血液中にある150ナノメートルほどの大きさのエクソソームにCagAが含まれることを発見し、CagAを発現する胃上皮細胞からCagAを含むエクソソームが分泌されていることを突き止めた。

 また、このエクソソームは他の細胞内に入って生物活性を発揮することも明らかにした。

(via JST