オスのマウスも他者の「性行動」のビデオを見たがる

　オスのマウスは他のマウスの性行動のビデオを見たがることを実験で確認したと、慶應義塾大の渡辺茂名誉教授らの研究グループが科学誌「Animal Cognition」で発表した。ヒト以外の動物が他個体の性行動を見ることを好むことを初めて明らかにしたものだという。

　研究グループは、オスのマウスに「性行動」のビデオが再生される部屋と、２個体が接触するだけのビデオが再生される部屋とを選択させた。その結果、「性行動」のビデオの部屋の方に長くいることがわかった。

　次に、「性行動」のビデオと「闘争行動」のビデオを見せると、今度は「闘争行動」のビデオが再生される部屋に長くいることがわかった。

　他個体の闘争は、個体間の社会的順位に関する情報を与えるため、マウスは闘争のビデオを見ることで何らかの利益を得ていると考えられる。一方、「性行動」を見ることに直接の利益はない。

　今回の実験によって、人間固有とされてきた他者の性行動を見たがるということがヒト以外の動物でも認められた。つまり、この人間の嗜好は文化的起源とともに生物学的基盤をもつことが明らかになったとしている。

参考：慶應義塾大学