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痛みが持続する「慢性痛」を起こす脳内の仕組みを解明「神経回路が組み替わる」

 病気やけがが治ったにもかかわらず痛みが続く難治性の「慢性痛」を引き起こす脳内の仕組みを解明したと、自然科学研究機構生理学研究所の鍋倉淳一教授らの研究グループが発表した。神経回路が途中で組み替わる異常が起きているという。

 慢性痛の成人患者は全国に約2700万人いるとされており、事故による外傷などの治療後にも原因不明の痛みが続き、鎮痛剤の効果があまりない患者は660万人いると推定されている。

 研究グループは、マウスの脚につながる末梢神経を縛り、約1週間後に元へ戻すことで負傷から回復する状況を再現した。

 その結果、痛みが続くマウスの脳内を調べたところ、神経細胞の周りにある細胞群が活発化して、接触を感じる神経回路と痛みを感じる神経回路が途中で組み替わる異常が起きていることがわかった。この異常のために、触れられただけで痛みを感じたという。

 鍋倉教授は「今後は神経回路の組み替えを起こす細胞群の活動を抑制して痛みの予防や治療につなげる方法を研究したい」としている。

参考:毎日新聞