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グルテンフリーで栄養価高い「キヌア」のゲノム解読に成功、食糧難の解決に貢献するか

栄養価が高くグルテンフリーの穀物「キヌア」の全ゲノムを解読することに成功したと、サウジアラビア・アブドラ王立科学技術大学の研究グループが科学誌「ネイチャー」で発表しました。世界の飢饉問題の解決にも貢献する可能性があります。




キヌアは数百年前にインカ帝国で栽培されていた穀物で、栄養価は非常に高く、アミノ酸や食物繊維、ビタミン、ミネラルを豊富に含みます。

またグルテンフリーで、血糖値の上昇しやすさを示す「GI値」がほかの穀物と比べても低いなどの特徴があります。

さらにキヌアは、やせた土地や塩分を多く含む土壌でも育つことができるため、健康的で栄養価の高い世界的な食糧供給源となる可能性があります。

しかし、キヌアの世界消費量はコメ、コムギ、トウモロコシなどと比べると非常に少ないことが知られています。

これは、「サポニン」に由来する特徴的な「苦い味」が作られることが原因のひとつになっています。また、キヌアは小さい穂と長い茎をもつため、強風や豪雨に弱いことも一因です。

今回、キヌアゲノムの解析結果から、サポニンの生成を調節する遺伝子も複数特定されています。この遺伝情報を使って品種改良し、苦みが少ないキヌアを作ることができる可能性があります。

また、強風などで倒れにくい性質をもったキヌアをつくることで、収穫量を向上させることにもつながると期待されます。