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上皮細胞の微小管配向の仕組みを解明、「CAMSAP3」が頂端部につなぐ

 上皮細胞に特有な微小管の配向の仕組みを解明したと、理化学研究所の竹市雅俊チームリーダーらの研究グループが米科学アカデミー紀要で発表した。上皮細胞に特有な構造と機能の理解につながると期待される。

 上皮細胞は臓器の主成分で、細胞内の物質の分泌や細胞外からの物質の吸収など、さまざまな働きをする。

 上皮細胞の構造上の特徴は、細胞の上「頂端面」や下「基底面」という極性をもつことだが、その形成機構はよくわかっていなかった。細胞骨格のひとつ「微小管」が頂端-基底軸に沿って配向することが知られているが、その仕組みも不明だった。

 研究グループは、マウス小腸の上皮細胞における微小管の配向をSTED超解像顕微鏡で観察した。

 その結果、微小管が配向する際に微小管結合タンパク質「CAMSAP3(カムサップスリー)」が頂端部に局在して、微小管の端に結合することがわかった。

 また、Camsap3変異マウスを使った実験で、CAMSAP3が微小管の一端を頂端面につなぎ止めることで微小管を配向させる機構が明らかになった。

 さらに、この微小管の配向は、上皮細胞の高さを維持して核やゴルジ体など細胞小器官を正しい位置に置くために必須なことも突き止めた。

(via 理化学研究所