脳科学などバイオ研究のニュースや話題 10.21 Sat

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ギャンブル依存は性格によるのか、脳の機能によるのか

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ギャンブル好きは性格なのか、あるいは脳の働きに起因するのだろうか。この問題についての研究結果が発表されています。
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覚せい剤の依存を抑える新たな分子をマウスの実験で発見

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画像:富山大学大学院医学薬学研究部

薬物依存を抑制する新しい分子がマウスを使った実験で発見されました。覚せい剤の嗜好性が弱まることが、世界で初めて確認されています。

報酬系で増加する分子「TMEM168」

マウスに覚せい剤を反復的に投与すると「TMEM169」と呼ばれる分子の発現量が増加することが富山大学大学院医学薬学研究部の研究グループによって明らかになりました。

この分子は体のいたるところで発現しますが、特に脳での発現量が多く、中でも「依存」に関わる側坐核と呼ばれる部位での発現量が著しく増加することが確認されました。

そこで、ウイルスベクターを用いてTMEM168の発現を強制的に増加させてみたところ、覚せい剤によってもたらされる運動量の増加や嗜好性が押さえられることが明らかになりました。

薬物依存では、ドパミンという脳内の神経伝達物質の働きが重要ですが、覚せい剤の投与によって増加する、細胞外ドパミンの量をTMEM168が抑制するという。

また、TMEM168は脳の神経細胞内でゴルジ体の中に存在して「オステオポンチン」と相互作用すること、オステオポンチンをマウスの脳内に注入すると覚せい剤依存が抑制することから、TMEM168はオステオポンチンを介して薬物依存を抑制すると考えられます。

今回の研究結果は、世界でも社会問題となっている薬物乱用の解決につながる可能性があると期待されます。

脳のサイズはオスが大きいが神経細胞の数はメスが上回る

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男と女では体の構造やサイズに違いがあるのは誰でも知っていることです。では、脳に男女差はあるのでしょうか。
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脳内のコンドロイチン硫酸が脳の成長期をコントロールしている

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新潟大学の研究グループが、脳内のコンドロイチン硫酸の量に応じて、神経回路の成長期がコントロールされることを発見しました。

少量のコンドロイチン硫酸に子どもの脳の成長期を促す作用があることが解明されるとともに、病気の治療法開発にもつながる可能性があると期待されます。

脳が発達する臨界期

子どものころは一般的に、大人になってからと比べて外国語やスポーツ、音楽などさまざまなことを習得するのが早いものです。

この理由は、大人と比べて雑念がないということもあるかも知れませんが、神経回路を活発につくる「臨界期」と呼ばれる成長期があるからです。

子どものころ、目でみた情報は大脳の視覚野に送られますが、臨界期に片目をふさいでしまうと、ふさいだ方の目からの情報よりも開いた方の情報を多く受け取るように神経回路が作り変えられます。その結果、ふさいだ方の目は視力が弱くなり、大人になってからも回復しないことが知られています。

このように、子ども時代には「臨界期」と呼ばれる脳の仕組みが存在しています。

臨界期には興奮性と抑制性の神経細胞が働く

これまでの研究では、臨界期が現れるときに抑制性の神経細胞と興奮性の神経細胞がうまくコントロールされていることがわかっています。車で例えると、ちょうどブレーキとアクセルの関係に例えることができます。

また、研究結果から大脳の「PV細胞」と呼ばれる抑制性神経細胞の一つでは、「コンドロイチン硫酸」を豊富に含む網目構造が構築されることが明らかになっています。

この網目構造は、大人の脳で神経回路の形成を抑制することが報告されており、臨界期の子どもにおいても少量のコンドロイチン硫酸が存在することがわかっており、研究グループは、この少量のコンドロイチン硫酸が臨界期の誘導に必要であることを解明しました。

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脳内コンドロイチン量で臨界期の始まりを終わりが決定(画像:新潟大学)

臨界期をコントロールして病気の治療に

臨界期は、神経回路が集中的に作られる脳の成長期と考えられます。もし臨界期をコントロールする仕組みの全容が解明されれば、大人の脳に臨界期を安全に誘導することで、脳機能の再建など新しい治療法の開発につながる可能性があります。

また、近年では臨界期やPV細胞の機能異常が精神疾患の一因になることが指摘されています。将来的にはコンドロイチン硫酸によるPV細胞の機能の改善が、精神疾患の症状の軽減にもつながるのではないかと期待されます。

目標に向かって「やる気」を持ち続ける脳の仕組みが明らかに

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目標に向かって行動を開始して達成するための「スイッチ」についての脳のメカニズムが慶應義塾大学などの研究チームが解明しました。適応障害や強迫性障害、あるいは注意欠陥多動性障害などの理解にも役立つ可能性があります。
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マリファナや合成大麻の成分が「けいれん発作」を引き起こすことを発見

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天然のマリファナに含まれるカンナビノイドや合成カンナビノイドが重篤なけいれん発作を引き起こすことが、マウスを使った実験で明らかになりました。マリファナの危険性を改めて明確にするとして、研究グループが警鐘を鳴らしています。
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脳の中身をライブストリーミングする技術が開発される

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脳内で起こっている活動の様子をライブストリーミングできるシステムを南アフリカの大学の研究グループが開発しました。脳すらもIoT化される時代になるのでしょうか。
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図説 植物の不思議 ミクロの博物学

図説 植物の不思議 ミクロの博物学¥ 2,052
花はなぜ美しいのか? 植物に隠された進化の秘密を電子顕微鏡で撮影し、植物の不思議さを解説します! 本書は、電子顕微鏡でしか見ることのできない植物のミクロ写真を着色し、極彩色のアートとして楽しむ植物図鑑です。電子顕微鏡(SEM)アート写真で世界的に知られる西永奨氏は、2014年に惜しくも亡くなられましたが、彼の残した写真を実兄である著者がまとめました。ゼラニウムの花粉の受粉など貴重な写真をお楽しみください。
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重力波は歌う――アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

重力波は歌う――アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち¥ 842
物体が運動したときに生じる時空のゆがみが光速で波のように伝わる現象「重力波」。100年前にアインシュタインが存在を予言しながら、これまで観測されていなかったこの波動を、米国の研究チームがついにとらえた。ノーベル物理学賞も確実視される偉業の裏には、どんなドラマがあったのか?天文学の新地平を切り拓く挑戦の全貌を関係者への直接取材をもとに描き出す、出色のサイエンス・ドキュメンタリー。
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美しい科学の世界 ビジュアル科学図鑑

美しい科学の世界 ビジュアル科学図鑑¥ 2,376
美しい写真で、身近にある科学の世界を紹介。身の回りの現象やモノを、光の性質やミクロの視点、瞬間で
とらえた美しい写真に易しい解説を付して紹介。目で見て楽しんで科学の世界に興味が持てる1冊。
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中国古代化学:新しい技術やものの発明がいかに時代をつくったのか

中国古代化学:新しい技術やものの発明がいかに時代をつくったのか¥ 1,620
新石器時代以前から清代に至る中国の化学技術の発展の歴史を,今日の科学的知見をもとに紹介。化学の立場から,現代科学の基礎概念の発展に古代中国が関わってきた役割を知ることができる。内容には,青磁・唐三彩・天目釉に代表される窯業,青銅・黄銅・白銅・鋼等の冶金,種々の丹薬の開発と物質に関する古代概念の形成,火薬の発明,さらに,製塩技術や,糖・酒・酢・味噌・醤油という発酵・醸造技術,藍・茜・紫・黄檗などによる染色や,織物の洗浄技術の発展の経緯が含まれる。
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自閉症児は音楽の好みが「早熟である」可能性がある

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自閉症の子どもは音楽の捉え方に特徴があることが霊長類研究所の研究グループによって明らかになりました。自閉症児はいわゆる「不協和音」の捉え方に関して、ある意味では早熟した音楽的好みをもっていることが示されました。
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冷暖房は風がないタイプの方が脳は平穏でいられる

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季節にかかわらず室温を調整するのにエアコンを設置している住宅は多いと思います。クーラーの効かせすぎによる体への悪影響が指摘されることが多いですが、今回紹介する研究はまた別の話です。エアコンから吹き付けられる「風」が脳に与える影響についての研究結果が発表されています。
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高齢者の「絵本読み聞かせ」ボランティア活動で海馬の萎縮が抑制される

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高齢者による絵本の読み聞かせボランティア活動が、加齢による海馬の萎縮を抑制する可能性があると、東京都健康寿命医療センター研究所の研究グループが国際雑誌に発表しています。
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食欲がコントロールできない「レプチン抵抗性」のメカニズムが明らかに

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人間や動物は本来、食べ過ぎると食事を抑制する働きが脳内に備わっています。そのため、過食による体重の増加や肥満は自然と抑えられるはずでず。ところが、「レプチン抵抗性」と呼ばれる現象が起こると、食べ過ぎを抑える脳の仕組みが損なわれてしまいます。
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