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睡眠中に音を聞かせてトラウマ記憶を弱める、PTSDの治療法に期待

睡眠中に音を聞かせてトラウマ記憶を弱めることに筑波大の研究グループが成功しました。PTSDの病態解明や新しい治療法開発につながると期待されます。




震災などの体験から心に深い傷を負うと心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、日常生活のなかでトラウマ記憶が蘇ったり悪夢に悩まされるなど生活が困難になることがあります。

PTSDについては、持続エクスポージャー療法などの治療法がありますが、精神的な負担が大きいことや3カ月程度は治療にかかること、すべての医療機関で治療を受けることができないなどの問題があります。

研究グループは、マウスに特定の音を聞かせた直後に電気ショックを与え、この音を聞かせるだけでおびえた反応(恐怖反応)を起こす実験を行いました。

マウスの音を聞かせて電気ショックを与えてから4時間以内に、睡眠中のマウスに同じ音を聞かせたところ、音を聞かせなかったマウスと比べておびえた反応が弱まる変化が24時間後に確認されました。

さらに、この効果はノンレム睡眠中に音を聞かせたときだけ生じることも明らかになりました。

今回の研究結果は、PTSD患者に苦痛を与えることなく睡眠中に実施できる新しい治療法の開発につながる可能性があります。

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