口の状態が良い人は、栄養状態、行動範囲、孤立状態、精神的健康状態が良好であることが明らかになりました。口の健康が身体的・精神的健康に重要な影響を与えていることを示唆しています。
これまでの研究では、口の乾燥や無歯顎、咬合力などが、精神的健康状態と関連していることが報告されていますが、精神的健康状態に関連している心理社会的要因などと同時に調べた報告はほとんどありませんでした。
この研究では、岡山大学病院予防歯科外来をメンテナンス目的で定期受診する60歳以上の患者を対象に、口の状態と精神的健康状態の関係を横断調査で検討しました。
その結果、口の状態が良好であると、良好な栄養状態、広い行動範囲、孤立がないことと関連しており、さらには、精神的健康状態が良好であることも関連していることがわかりました。
口の状態が良好であることは、栄養バランスの良い食事を摂取しやすくなり、外出や社会活動への参加など、行動範囲が広がり、孤独感や孤立感を感じにくくなるなどの効果が期待できます。
また、精神的に良好な状態にあることで、口腔ケアへの意識が高まり、口の状態が良好に保たれるという好循環が生まれることも考えられます。
この研究結果は、口の健康が身体的・精神的健康に重要な影響を与えていることを示唆しています。口の健康を維持することは、健康寿命の延伸にもつながると考えられます。