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過酷なウルトラマラソン後に起こる腸内細菌叢の変化とは

フルマラソンよりも過酷な超長距離を走る「ウルトラマラソン」の日本人ランナーの腸内細菌を調査した結果、特定の細菌が減少することが明らかになりました。




人間の腸内にはおよそ1000種類もの細菌が生息しており、これらを総称して腸内細菌叢と呼んでいます。

腸内細菌叢は人間と共生関係にあり、さまざまな役割を果たしています。構成する細菌のバランスの崩れがさまざまな病気と関連していることが明らかになってきています。

順天堂大学の研究グループは、日本アルプスを縦走するトランスジャパンアルプスレース2020に参加した選手について、レース前後での腸内細菌叢の変化を調べました。

各選手の便検体を調べてそれぞれ1万個の細菌を同定し、全体で380種の細菌の存在比を分析しました。

それらの細菌のレース前後の変化を調べたところ、酪酸産生菌のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(F. prausnitzii)が減少していることがわかりました。

F. prausnitziiは、さまざまな病気の患者で減少が観察されている細菌です。

レース前の4.75%からレース後の0.68%へと、最も減少が大きかった選手はレース後にだるさや浅い眠りがあったと報告しています。

分析された380種の細菌のうち有意な減少が観察されたF. prausnitziiを含む4種類の細菌は、すべて酪酸産生菌でした。

酪酸産生菌とは、腸に送られた食物繊維を分解、発酵して酪酸を産生する細菌の総称です。クローン病や炎症性腸疾患などさまざまな病気と関連することが明らかになってきています。

腸内細菌叢が産生する酪酸は免疫機能などに重要であり、ウルトラマラソンによる酪酸産生菌の減少は、体調に悪影響を及ぼした可能性があります。


フルマラソン以上を走る“ウルトラマラソン”。2日間で96kmの“超長距離”を走破した日本人ランナーの腸内細菌叢の変化を調査