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科学者の発表倫理: 不正のない論文発表を考える

kagakusya
¥2,730
 論文発表における倫理の必要性を伝える。論文発表における不正行為の実態と影響を可視化し、当事者の問題に留まらないことをを説く。

本の説明

内容紹介
 論文発表における倫理の必要性を伝える。論文発表における不正行為の実態と影響を可視化し、当事者の問題に留まらないことをを説く。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
 山崎/茂明
1971年早稲田大学第一文学部(社会学)卒業、1985年慶應義塾大学大学院図書館・情報学専攻博士課程修了。東京慈恵会医科大学情報センター(講師)を経て、愛知淑徳大学人間情報学部教授。専門は、科学情報メディア論と科学コミュニケーション、特にレフェリーシステム、研究業績評価、研究発表倫理、第33回科学技術情報振興賞(学術賞)を受賞。図書館情報学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

amazonカスタマーレビューより

 医学情報の研究現場として、研究不正の記録を保存提供しているジョージタウン大学のケネディ記念倫理研究所を中心したエシックスウェッブ(ネット公開)の原資料ファイルで、研究不正の一次資料収集の膨大な記録に遭遇した著者の体験談から本書は始まる。
 以降、生命医学研究における研究成果の公表とその意義を、研究不正事例と共に精緻に分析しながら、全15章で構成される(1学期で授業として構成できるということ)。大半は国際医学情報センターの機関紙『あいみっく』に掲載された論文を統一して、公表したもので、事実のみで記述されている点において科学論文だが、論文のかた苦しさを可能な限り排しており、読みやすい。
 その一方で、撤回論文(retraction)をパブメドを中心に精緻に追跡し、分析した記録や医中誌ウェッブでの調査結果などを追加して、研究不正の実情を国内外を含めて動向を紹介し、科学論文の成立の要件を研究現場としてのラボ、著者構成等を精密に役割分担と成果および評価としての引用統計分析としてインパクト・ファクターへの言及から研究評価に連動させ、研究不正が単なる知的犯罪の域を超え、学術研究における意義自体に収斂させて、研究倫理を再構築する構成であり、初学者にも理解しやすい。
 学術書として脚注と索引が付され、的確な図表が挿入されている。過不足のない編集振りで申し分ない。

by Bibliothekar