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100度以上でのタンパク質の安定化、仕組みを解明 超耐熱性タンパク質の設計に期待

CutA1

 理化学研究所や大阪大蛋白質研究所の研究チームは、100度以上の環境で生息する超好熱菌などが産生する、超耐熱性タンパク質の非常に高い安定性を熱力学的に解明したと、26日付の科学誌「Scientific Reports」で発表した。超耐熱性タンパク質の設計への応用が期待できる。

 超好熱菌などが産生する超耐熱性タンパク質では、荷電性残基間の相互作用や疎水性相互作用が重要とされているが、100度以上の温度で熱力学的にどのような役割を担うかについて実験的に検証はされていなかった。

 研究チームは、高い熱安定性をもつ大腸菌由来のタンパク質「CutA1」を構成するアミノ酸を疎水性や荷電性のアミノ酸に置換して、タンパク質の構造が壊れる変性温度を86度から137度まで改善することに成功した。

 熱安定性の高いタンパク質は医学・薬学のほか、工業分野での応用も期待される。研究チームは、100度以上の温度でも安定な超耐熱性タンパク質の設計に理論的な指針を与えるとしている。

(via 理化学研究所