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酵素の分子進化を立体構造で理解する新たな手法を確立

 系統樹解析から得られたアミノ酸配列情報に基づいて、信頼性の高い立体構造を再現する計算科学の手法を確立したと、岡山大の田村隆教授らの研究グループが英科学誌「Scientific Reports」で発表した。この手法で硫酸還元菌のもつ[NiFeSe]ヒドロゲナーゼの立体構造を再現し、分子進化メカニズムを解明した。

 地球上の生物がもつさまざまなタンパク質は共通祖先から派生して分化したと理解されている。しかし、これまで進化の数理モデルで復元したのはアミノ酸配列までで、タンパク質の機能解明に必要な立体構造として考察できなかった。

 研究グループは、配列情報からタンパク質の立体構造に踏み込み、微生物の環境適応を酵素の分子進化の観点から考察し、立体構造の変遷を再現する新たな解析方法を見いだした。

(via JST